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東洋医学メモ

このページでは東洋医学に関して、主に漢方薬に関連した事柄について随時更新していきたいと思います。

漢方薬の飲み方について

Q.漢方薬を飲むタイミングは、食前でなくてはだめですか?

現在、主流になっているのは、エキス剤と言われる、顆粒状になっている製品だと思います。その他にドリンク剤のタイプやカプセルタイプ、さらに最近では紅茶のパックのようになっているものもでてきました。
もともとは生薬と言って、いわゆる煎じ薬などとも言っていましたが、乾燥した草の葉や根などをお湯で沸騰させて煮詰めた物を飲んでいました。漢方薬のはじまりの本には(傷寒論など)には、その煎じ方まで載っていたのですが、現在ではそれほど厳密には行われていません・・。
その煎じ薬は食前に飲むのが効果があるとのことで、長い間そのように飲まれてきました。また、多くは沸騰させ煮詰めたものを飲んでいたので、比較的熱いものを飲んでいました。しかし、もとの煎じ薬でも熱いものは止めるように書いてあるものもあるので、病気や薬によって細かく指示されていたのかもしれません。
現在では先に述べたエキス剤などが主流ですので、持ち運びには便利です。一般的に上記のような歴史があるため、病院で処方される漢方薬は食前に飲むように指導され、保険上もそのようになっています。しかし、現在の薬のほとんどは食後に飲むことが多いため、漢方薬以外に飲んでいる方はどうしても、飲み忘れが多くなってしまいます。そのため、薬のコンプライアンスが悪いと、結局薬が効いているのか効いていないのかがわからないため、まずは定期的に内服してもらうのを優先するようになってきています。ただ、慣れてきたら薬にもよりますが、お湯に溶かして食前に飲むのがいいとは思いますし、昔からの大家(たいか)の先生たちはそのようにすすめています。
私だけではありませんが、説明としてインスタントコーヒーを例えにだします。インスタントコーヒーはそのままなめたり、口に入れたものを水やお湯で飲むことはないでしょう?・・と。
ただ、気軽に飲めるようになってきた半面、昔のような煎じ薬独特の匂いを作りながらかぐこともなく、また薬を作るという一手間がないため、病気を治すためにがんばるぞという、ちょっとした気の持ちようなどの、違いはあるかもしれません。
最近、アロマテラピーについて勉強していることもあり、あの煎じ薬の匂いにもそれぞれ作用があるような気がしています。最近のノーベル賞で嗅覚の研究で受賞している方がいましたので、嗅覚に関しては、まだまだこれからいろいろわかってくるかもしれません。

漢方の用語:気について

漢方の診断方法のひとつに〝気・血・水〟(きけつすい)というのがあります。
気は「病は気から」など良く使う言葉ですが、医学関連で「病気」「生気」「元気」などいろいろな場面で使われます。それだけ日本では大事にされていたのだろうと想像できます。
漢方医学的にみた気とはエネルギーの一種で、生命活動の根源的エネルギーと考えられています。病態把握の基礎になるもので体の変調を気の量やその流れの障害として捉えていきます。量が少なくなると気虚(ききょ)、流れの停滞をきたした場合、気鬱(きうつ)、流れの失調を気逆(きぎゃく)といいます。この中では気虚が比較的わかりやすいと思いますので簡単に説明します。
気虚の原因は気の産生障害と消耗によります。
産生障害は食事がとれない、または吸収不良などで起きてきます。風邪などでも食事が取れなくなると最初は体のだるさだけなのが、それが長くなるといわゆる気力がなくなってくるのを経験した方は少なくないと思います。また気の消耗は色々な病的機転に対し、生態の恒常性を保つために消費し、そのため気の量が低下した場合におきます。
病的なことではないですが、無理な仕事に〝気合をいれて〟ずっと続けると無気力になることを考えるとわかりやすいかもしれません。いずれにしても気虚になると精神活動の低下、全身倦怠感、活力の低下などをきたします。
気虚の診断基準として富山医科薬科大学の教授で現在は千葉大学にうつられた寺澤先生が考案された基準がありますので一部掲載します。
身体がだるい:10点、気力が無い:10点、疲れやすい:10点、日中の眠気:6点、食欲不振:4点、風邪をひきやすい:8点などがあります。総計30点以上で気虚と判断します。程度の軽い場合には半分の点数で計算して判断します。
こういったことを念頭においてもらい、漢字の話になりますが、昔の気は氣と書いて中の部分が米という字でした。氣には日本人の食事の基本である、お米がしっかりと書かれていたことに気付かされました。いわゆる大家(たいか)の先生の中には、薬での治療の前に食事、特に米(こめ)食について説明して(時には説教のように)それができてから治療に入ることもあるという話です。欧米諸国では日本食が優れていることをとり入れていますが、今の日本は伝統的な食事のいいものをどんどん捨てていっていると指摘する方も少なくありません。すべてを昔のようには無理な話ですが(作られている作物の栄養価なども昔の作物のほうが優れているのもよく知られていることですから)、今の食生活を少し見直す時期になっているような気がします。

今後考えている内容については
漢方薬の歴史
漢方の用語
各漢方薬の説明および泌尿器科的な使い方
身近な漢方の説明
などを考えています。